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60億円の高みを目指す、九州大学のファンドレイジング

 こんにちは!文部科学省寄附検討チームです!
 前回に引き続き、今回は、大学における寄附集めの取組をご紹介します。
 
 お話を聞いたのは、九州大学基金事業推進室のファンドレイジングチームです。
 九州大学では、2021年度~2030年度の10年間で、九州大学基金への寄附累計額を60億円とする目標を立てています。
 目標の達成に向けて、寄附の裾野を広げ、継続的支援者を獲得することに地道に汗をかく職員の方の姿がありました。

左から 九州大学総務部同窓生・基金課長 大石さん、基金事業推進室ファンドレイジンググループ長 古屋さん(右側は寄附検討チーム員)

1 九州大学の取組

 九州大学では、九州大学基金の寄附目標達成に向けて、まずは総長の下で体制構築に向けた検討会議を設置。そのうえで、令和4年度から寄附募集を専任的に行うファンドレイザーを4名配置し、寄附集めを強力に推進する体制を構築しました。このファンドレイザーは、令和5年度からは福岡だけでなく東京にも1名配置され、企業や個人寄附者との関係構築に邁進しています。

 また、寄附メニューづくりにも力を入れています。2年間で30を超える寄附メニュー新設のほか、民間企業からの寄附に基づく給付型奨学金制度である未来人材育成奨学金では、これまで5千万円以上でないと作成できなかった奨学金の寄附金額を一口あたり100万円とし、金額面のハードルを下げたことに加えて、寄附者である企業と奨学生との交流会・活動報告会を実施。学生に社会との交流の機会をもってもらい、大学生活のみでは知りえない視点を持ってもらうと共に、地元企業が自社のCSR活動、PR活動などの一環として、取り組みやすい環境づくりを行っています。

2 ファンドレイザーの役割

 実際に寄附募集活動を行うにあたっては、ファンドレイザーが活動の中核として役割を発揮しています。重要としているスキルは「渉外力」。銀行などで勤務経験のある方をリクルートしたといいます。
 このファンドレイザーは、企業等へ寄附メニューの紹介・募集を行うほか、入学式・同窓会などの機会を通じたPRを行うなど、寄附を増やすためのアプローチを担っています。また、基金事業推進室では、注目を集めそうなテーマ(例えば、近年では半導体分野など)の寄附プロジェクト組成に向けて、教授陣への提案なども行っていますが、ファンドレイザーはそういった教授陣と企業のマッチングも担っています。

3 足も使った、広報戦略

 さらに、広報活動は、広く、深く、両面で行っています。
広く・・・
 ファンドレイジンググループ長である古屋さんは、九州大学の広報室長を経た上で、現在の役職に就任されました。寄附募集にあたっては、そのスキルをフル活用した取組がみられます。
 例えば、寄附に関する広報誌「別冊 九大広報」をあっという間に創刊。寄附メニューや寄附の実績、成果などを見やすく構成し、多くの方々が寄附への関心を抱くようなきっかけづくりに努めています。そして、同窓生など、特に関心を持ってくれそうな方々に届け、寄附の裾野を広げる取組を進めています。

各種広報誌によって、取組のPR。もちろん、HPやSNSも駆使。

そして、深く・・・
 寄附を行ってくれる方は、大事な支援者。大学の取組に、一度だけでなく何度も共感して、支援を行ってくれる可能性がある存在です。大学の取組や状況などを積極的にお伝えし、関係を継続していく取組は、地道な活動ながらも、寄附の獲得に向けた重要な取組であるといいます。

寄附者への謝意をお伝えする取組にも注力。銘板もリニューアルしました。
「椎木講堂」も寄附によって建造されたもの。
内部のホールは、学生の発表会だけでなく、地域の方々の活動にも広く活用されています。

4 今後の取組

 寄附メニューが多種多様になっている中で、寄附者の関心に沿って、継続的に寄附を行いやすい仕組みづくりのため、寄附者の「マイページ」を用意することも検討しているとのこと。大石さん、古屋さんの下、更なる寄附獲得に向けた取組が進んでいきそうです。

5 寄附検討チーム員より

 今回お話を伺ったお二人からは、ファンドレイジングの本質が、支援をしてくださる「人」との関わりだということを強く感じました。よって、支援者との様々な仕組みを通したつながり・関係を大事にすると共に、目に見える形で大学の姿や取組を示していく。ただのテクニックではない、重要な点を教えていただくことができました。