大学と自治体におけるふるさと納税でつながる地域の輪(酪農学園大学・江別市)
こんにちは!文部科学省寄附検討チームです!
今回は、大学と地方自治体における寄附集めの連携の取組についてご紹介します。
まだ雪が積もる3月の北海道。
お話を聞いたのは北海道・江別市と酪農学園大学の寄附募集に携わる方々です。
・取組の概要について
―本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。江別市と酪農学園大学では、ふるさと納税を活用した寄附募集に関する取組を実施されていると伺いました。まずはこの概要について教えてください。
(江別市)
江別市では、大学・高校の支援の一環として、市内高等学校・大学へのふるさと納税の募集を令和4年度から開始しました。
集まった寄附金(事業運営のための必要経費を差し引いた額)については、酪農学園大学など市内の大学、高校へ補助金として交付しています。各学校から提出される補助金交付申請により、寄附金が各校の教育の充実に用いられたことを確認できます。
当初は新型コロナウイルスの影響により経済的に困難な状況におかれた学生への支援について検討を開始したものですが、より広く在学生を応援できるようにするため、大学などへ補助金として交付する形としました。
ふるさと納税を通じて、市外へ転出した卒業生が地元の後輩を応援できることや、地域の特産品を通じて、江別市と繋がり関わる人の輪が広がることにも期待しています。
・酪農学園大学と江別市との連携について
―市内の高校・大学が補助金の対象ということですが、酪農学園と江別市はどのような点で連携を行っているのでしょうか。
(酪農学園大学)
当学園では、「生きるを学ぶ、学びが生きる」という考えの下で、「農食環境」と「獣医学」という二つの学群下、五つの学類を設定しています。「食と健康学類」では、乳や食肉の製品開発にも取り組んでいますので、この研究資源を生かして、江別市へ寄附いただいた方への返礼品となるアイスクリームやバターなど乳製品の製造を行っています。
ふるさと納税を活用したこの取組について、江別市さんと我々のどちらから持ち掛けたのかは定かではありませんが、大学の教育環境向上のため収益源が増えることは、非常にありがたく思います。
また、乳製品を全国の方にお届けすることで、学園の取組や知名度を道内外に広くアピールできることも、この取組の非常に魅力的な点です。
―自治体と大学という異なる立場での連携について、難しさを感じる場面はありますか。
(江別市)
江別市において、教育機関との連携は、このふるさと納税に限らず日常的に行ってきました。そのため、立場を超えた壁や調整の難しさを感じたことはありません。
市内の高校や大学の教育環境が充実することは、市の重要な施策目標の一つですから、お互いの目標に向かって、連携して動けているのではと思います。
・取組を通じた変化や反響
―江別市と酪農学園大学のそれぞれでメリットを生む取組となっていますね。取組を通じた変化や反響などはありましたか。
(江別市)
江別市におけるふるさと納税の返礼品ランキングでは、令和5年度の現時点(※)で、バターが全体の3位、アイスが4位に入るなど、酪農学園さんとの連携は寄附の獲得に大きく貢献しています。
※令和5年3月時点
(酪農学園大学)
ふるさと納税開始当初は、本来学校に直接寄附をしていた方がふるさと納税に流れ、「食い合い」になることを懸念していましたが、現時点でそのような話は聞いていません。
また、この取組をきっかけとして、学園で製造した製品をもっと販売できないかという気運が盛り上がりました。北海道の物産店や近隣のスーパーなどにも酪農学園の商品を置くなど、学園の新たな収益源の拡大を推進していますが、こうした動きもあり、以前よりも学園内各部署の協力が図られるようになったと思います。
他方で、自主財源の獲得に向けた取組は、まだまだやれることがあると思っています。他大学さんにおける寄附募集の取組や、学内製造品で収益を上げている好事例について、引き続き情報収集を行いたいと考えています。
・今後の取組
―本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、寄附の募集に関して、今後の取組で考えていることがあればお聞かせください。
(酪農学園大学)
実は、全国のチーズ工房の関係者の多くが酪農学園出身なんです。全国的にも活躍する卒業生が多い中で、卒業生への支援として、新たな収益源を通じた寄附獲得の取組を推進していきたいですね。
寄附募集に関しては、ファンドレイザーと呼ばれる専門人材の重要性を感じています。今後、取組を拡大していく上で、ぜひファンドレイザーを活用した好事例を、文部科学省からも共有いただけると、ありがたいなと思います。
・寄附検討チームより
今回は、自治体と大学が共同して寄附募集を行う事例について取材を行いました。自治体と大学では、寄附募集を行うにあたり活用できるリソースが異なるため、協働して寄附募集を行うこの取組は、双方にとって利益を生んでいる取組となっているようです。
寄附検討チームでも、引き続きこのような寄附募集の好事例や、ファンドレイザーを活用した事例について、取材、情報発信を図ってまいります!