弘前大学の取組 Well-beingな地域共創社会の実現を目指して
みなさんこんにちは!文部科学省寄附検討チームです!
こちらのページでは、文部科学省関係法人における寄附等の活用事例をご紹介していきます。
寄附される方にとっては、寄附が活用される具体的なイメージ醸成に、寄附を受け入れる法人関係者にとっては、寄附の新たな活用の検討材料として参考となれば幸いです。
今回は、民間企業への積極的なアプローチを通じて、寄附講座・共同研究講座の発展に取り組んでいる国立大学法人弘前大学における事例のご紹介です!
弘前大学の取組について
弘前大学では、「日本一の短命県」を返上するため、健康な約1,000人分の約3,000項目にも及ぶビッグデータを2005年から継続して収集。2013年からは、「弘前COI」(Center Of Innovation)プロジェクトとして、企業・大学間でビッグデータの共有・共同解析、社会実装するための仕組み(エコシステム)を構築しました。
さらに、2022年からは「COI-NEXT」拠点として、Well-being な地域共創社会の実現に向け、国際的な健康課題の解決(SDGsへの貢献)やより多くの企業の巻き込みを企図した取組を行っています。
現在、本プロジェクトには、大手食品メーカーや製薬会社のみならず、なんと自動車メーカーまでも参画。24もの共同研究講座が設置され、年間5~7億円もの外部資金獲得につながっています。
大学と企業とのコミュニケーション
企業が本プロジェクトに参加し、弘前大学の保有するデータ利活用を行うためには、資金だけでなく研究者の提供が必要となる共同研究講座の設置が条件となっています。これにより、企業側の熱意の高い参画を実現、多額の収益化につながりました。
地域住民との距離が近いという地方大学ならではの利点を生かした本取組ですが、当初は都市大学と比べた大学知名度の低さがネックとなり、なかなか企業の参加にはつながらなかったといいます。
しかし、本プロジェクトの代表(PL)である村下教授が全国主要都市に出張を重ね、企業の経営者層を意識した講演や研究内容のブランディング、アピールの結果、多くの企業を巻き込むことにつながりました。
また、企業とはプロジェクト参加後も、週次・月次で頻繁に対話を行い、月に1回進捗報告(原則リアル対面)を求めています。このようなコミュニケーションを重視したプロジェクト運営により、参加企業が増えてもプロジェクトがバラバラになることはありません。むしろ、多くの企業が参画し、それが大きな一つの塊となることで、プロジェクト全体にますますの勢いをもたらしています。
取組の成果(アウトカム)
企業にとっては、自らで収集困難かつ希少性の高い健康データを活用することで、健康製品の開発、販売促進にもつながるなど、新たなビジネスチャンスとなることが期待できます。
さらに、健康データを活用した社会実装の取組が広がることで、地域にとっても雇用の創出や、健康寿命の延伸など、活力のある街づくりにつながることが期待されます。
共同研究講座を活用し、地域・住民のよりよい暮らし(Well-being)を実現する本プロジェクトは、まさにオープンイノベーションの強みを最大限生かした取組となっています。
(参考)共同研究講座とは
企業等からの資金を活用し、大学内に設置する研究組織のことです。出資企業からは資金と研究者を、大学からは研究者と施設・設備を提供し、それぞれが対等な立場で研究組織を運営します。
<税制上の優遇措置(法人)>
試験研究のために使用した費用の一定割合を税額控除できる、いわゆる研究開発税制の一つである特別試験研究費税額控除制度が適用できます。
(参考)寄附講座とは
企業等からの寄附金(奨学寄附金)を活用し、大学の自主性及び主体性の基で、期限付きの客員教授などを招いて設置される教育研究組織のことです。講座名称については、寄附者の方の意向も踏まえて決定されます。
<税制上の優遇措置(法人)>
国立大学法人への寄附の場合は、全額を損金算入することが可能です。
また、学校法人への寄附の場合は、日本私立学校振興・共済事業団を通じて寄附を行う場合、全額損金算入が可能であり、学校法人へ直接寄附を行う場合は、一定の範囲内で損金に算入することが可能です。
(詳細は、法人が寄附した場合の税制上の優遇措置|文部科学省(mext.go.jp)等をご確認ください。)
プロジェクトに関するお問い合わせ先
弘前大学健康未来イノベーション研究機構
TEL:0172-39-5538